今では医療は予防の時代と言われており、生活習慣や運動習慣を見直す事こそが健康に生きることに繋がると考えられています。また、予防医学の一環として、健康診断や人間ドックで早期発見・早期治療に結びつけていこうとする流れもあります。これは多くの識者も賛同していることで、生活習慣病やがんなどの病気のリスクを下げることに繋がっていると言われています。ただ、これに異論を唱える識者がいないわけではありません。
例えば人間ドックで乳がんを見つけても、それによって乳房の全摘手術を受けたせいでQOL(生活の質)が下がってしまうことや、手術をしない方が生存率が高い、などの報告もあります。日本では乳房を残す手術よりも、全摘して取り去ってしまうことが中心の治療になっているからです。それならば、かえって人間ドックを受けて乳がんを見つけるよりも、受けずに乳房を残したまま小康状態を保っていった方が健康的なのではないかという考え方です。もちろんこのような考えもありますが、やはりがんの不安を抱えたまま生活するというのは心配が残るものです。
たとえ小康状態が続いていたとしても、いつ何時健康への被害が出てくるかはわかりません。そのように考えると、やはり健康診断や人間ドックは大切でしょう。確かに自分の病気を知るというのは嫌なものです。しかし、人間ドックで異常が見つかったからと言ってそこで人生が終わりということではありません。
そうではなく、今後最善の生き方をしていく道しるべとして使っていけば良いのです。